最新の記事
●新刊のご案内
『平和を考えよう(全2巻)』小学校高学年~中学生向けの本です。詳しくは > こちら おすすめ記事 ●電気柵が守る村にて ●人は自然に託して物語を紡ぐ ●飯舘村から思いをつなぐ ●春よ、春よ ●落ち葉も輸入?! - セシウム汚染腐葉土のニュースに思うこと ●ペシャワール会・伊藤和也さんの死に思う おすすめシリーズ ●[里山暮らし]与那国馬タックとの日々 ●[里山暮らし]炭窯&奥谷津棚田—長老たちとの日々 ●[スピリチュアル?]ぐだぐだ考えてみた ●[ブラジルHIV+アクティビスト]アラウージョ全国講演旅行2011報告記 ●[ブラジル・リオ&サンパウロ]ファベーラ(スラム)をへめぐる ●[アマゾンと先住民]カヤポ族 呪術師長老ラオーニ、日本を行く2007 ●[アマゾンと先住民]ベロモンチ水力発電所建設問題 別館 ●日本の文化・旅をブラジルへ発信するポルトガル語サイト Curtindo o Japão ●関連記事 コンタクト --> こちらから 以前の記事
カテゴリ
野良しごと/山しごと 手しごと 書くしごと 里山と棚田と馬と 自然・いきもの・風景 鴨川・田舎暮らし 農・食・環境 養蜂・ハチミツ よの中・ひとの中 旅の空 ブラジル ファベーラ(ファヴェーラ) アマゾン/先住民 つれづれ ヘジの野辺だより ■百一姓の農産品■ [ プロフィール] [ このBLOGの使い方] タグ
生き物(164)
植物(159) 田んぼ(156) 畑(146) 馬と暮らす・働く・遊ぶ(68) アマゾン/先住民族(48) 田舎暮らし(43) 料理(42) ブラジル(42) アラウージョ(40) ヒミツの山(36) NGO(35) 旅(34) ファベーラ(33) 鴨川(32) HIV/AIDS(29) 農/食(29) メディア(28) ベロ・モンチ水力発電所(26) 炭窯長老(21) 検索
最新のトラックバック
その他のジャンル
|
本当に久方ぶりの雨に、ひび割れていた田や畑は息を吹き返して、ホッと胸を撫で下ろした。 来月7日に迫った村祭り、高倉神社(大山不動尊)例大祭は、元来、雨乞いの祀りだという。揚水装置などなかった時代、水の乏しいこの地域では、万策尽きた日照りの夏には、それは切実な祈りだったであろう。天水だけが頼りの山の田で米を作りながら、先人たちの思いがしのばれてくる。 いま借りている田は、お不動様のすぐふもとなのが好きだ。野良仕事の腰を伸ばしてふと見上げれば、山の上から静かに見守られているような気持ちになる。 私は信仰する宗教を持たないし無神論者ですらある。死んだらおしまい。あの世やら霊魂の存在は信じない(※注)。占いやら、昨今流行りのスピリチュアルやらパワースポットとやらにも興味がない。それなのに村の祭祀に心ひかれ、手を合わせたくなるのはなぜだろう。この気持ちは祀られた神仏そのものへの信心とは少し違う。神仏を祀った先人たちの込めた願い、祈りという営みがいとおしく思えて仕方がない。 水が乏しい山の棚田では、冬にスキグワで深く田を起こし、春には何度も畦を塗り固めて水を留めるのだと、農家のお年寄りたちに教えられた。 雨を降らせてくれるカミへの祈りとは、奇跡が起こるのをただ待ち望むことだろうか。いや、そうじゃない。人間が地道にくふうし、重ねて来た努力に、「それは無駄ではない。報われるよ」と勇気を頂くこと。たとえ報われずとも、人間の力ではどうすることもできない天為と受け止め、よりよい明日へ希望をつなぐこと。そう私は理解している。 自然は人間に無関心だ。森羅万象とは自然(じねん)のもので、そこにちっぽけな人間の思惑など入る余地はない。冷酷で過酷な自然の片隅で、その自然へ働きかけながら人間は生き伸びてきた。 前にも書いたことだけれど、森羅万象にカミが宿るという世界観は、冷酷で過酷な自然をなんとか人間の側に引き寄せて折り合いをつけて生き抜くための、人間の智慧だと私は受け止めている。 その世界観の中では、自然は常に人間に何かを語りかけ、意味のある何かを眼前に起こしてくれる。自然の自然な有りようや偶然のさまに、そのようにして特別な意味を託すことで、人は何か——勇気とか希望とか教訓とか戒めとか、を得たいと願うのだ。人は「ものがたり」を必要とする生き物だ。そしてそんな人間という存在を、とてもいとおしく思う。 流行りのスピリチュアルは、そんな特別な「ものがたり」を、人智の及ばぬ自然の神秘の力、宇宙の真理だ、というような言葉で説明してみせる。一見、謙虚な自然賛美のようでいて、逆に、自然に対してこんなに不遜なことはない。なぜなら、そうあってほしいと自分が(無意識に)望むままに自然が振る舞ってくれていることになってしまうから。人智の及ばぬ神秘の力なのなら、どうして人間ごときのコトバで辻褄の合う説明などつけられようか。 そしてそんな俗流スピリチュアルは、人に対しても不遜だと思えてならない。自然の有りように意味を託し、「ものがたり」を紡いできた、人間のいとおしい営みを無にすることにほかならないのだから。 ○8/5追記:(「※注」部分への付記) 「あの世やら霊魂の存在は信じない」というよりも、「存在する/しないは考えない」と言った方がしっくりくるかもしれない。事実として存在するかどうかの証明など誰にもできないことで、結局は、信じる/信じないの次元の話になってしまう。私は「信じる/信じない」の外側にいたい。 ○関連記事: - 「アマゾンの長老と女たちの旅」10/24深夜放送 - 長老ラオー二、日本を行く (3) 精霊が見えるか? - 長老ラオー二、日本を行く (8) まなざしの奥にあるものは - 「ヤノマミ 奥アマゾン 原初の森に生きる」 - 謙虚な愛を捧ぐ 今年の祭り(8/7)のようす > こちら 写真:さとみ
by hyakuishou
| 2010-07-30 13:53
| よの中・ひとの中
|
ファン申請 |
||