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やっぱりウチの田んぼのお米はおいしいなあ〜と、しみじみ晩ごはん食べながらテレビ点けたら、そちらでも炊きたてごはんが湯気を上げていた。
NHK・BS2 熱中スタジアム テーマ「お米」・・第一夜「白ごはん だいすき!」 実りの秋。新米の季節、到来! その「愛情たっぷりにお米作りをする女性」の米作りのようすがビデオで紹介されていた。田んぼで本田美奈子.が唄う「アメイジング・グレイス」をずっと大音響で鳴らしている。音楽を聴かせて育てた米はおいしくなる、とかいう話。 実行している自分のアイデア——「カーステレオで、いつもヤマヒカリちゃんに音楽を聴かせています。土のときから聴かせているんです。」CDだけじゃありません。清家さん自ら、歌い、聴かせています。「わたしの声で、母親のような感覚で。歌いながら苗をなでたり。」(番組HPより) シーンはスタジオに戻って試食会。「五つ星・お米マイスター」という肩書きを持つゲストが、こんなコメントを。 米作りの経験が2年間で、ここまでのお米を作るというのは、かなりすごいですよね! 「歌を歌ってあげると稲がしっかりする」・・・?? 「歌を歌ってあげると稲がしっかりしておいしくなる」とは、最近ちまたによくあるアレですか? 音の波動だか何だかのフシギな作用が植物や食べ物に働くとかいう疑似科学。どうしてそういうことにしてしまいたいのかな。 「愛着を持って足しげく田んぼに通ってこまめに世話をする。野良仕事のときには自分が大好きな音楽を聴きながらだと楽しいし、仕事にもっと精が出る。きっと稲も喜んでるはずと思うとうれしくなる。そうやって手塩にかけて育てたら、いいお米ができたよ」——そういうあたりまえの理解じゃあ、なぜダメなのかな。 この人は田んぼで大きな音で好きな音楽を鳴らして仕事をすると気持ちがいいのでしょう。楽しいのでしょう。誰だって仕事は楽しくやりたいものではないか。それでいいじゃない。素晴らしいじゃない。そうやって1haも(!)耕作している。すごいな、と思う。 私の場合は、そうだな。田んぼで働く楽しさのひとつは、自然を五感で感じること。風がそよいで遠くからかすかなにおいを運んで来る。サラサラと音を立てる稲の葉、カエルが跳ねた水の音、虫の羽音...そこには音楽があふれている。そういう田んぼがいとしくて、手塩にかけて育てるのだ。それぞれに、それぞれのいとしさの表現の仕方がある。そういうことだ。 ちなみに、手でさすったりなでたりする(=物理的な刺激を与える)と、植物はストレスを感じて体内でエチレンガスを生成する。エチレンとは植物ホルモンの一種で、縦方向の成長を抑制するかわりに横方向の肥大を促進して、茎を太くしたり分けつを促進したり根張りをよくしたり、というふうに働くものだ。農業雑誌を見ていると、田植え前の稲苗の上に重いローラーを転がすことで太くて強い苗を作るという技術がよく紹介されている。麦踏みなんかも同じ原理。 こういう植物の生理を理解した技術に触れると、「ああ農業ってサイエンスだなぁ、そういうところが面白い!」とワクワクしてしまう。それとも、稲をなでさすったらエチレンがどうしてこうして、なんて説明では身も蓋もないように見えるだろうか。愛を否定するの?と思うだろうか。 愛していつくしんで...は、こちら側の人間の世界の話。人間の事情。私も惜しみなく愛は注ぐけれど、その愛そのものを稲が受け止めるかどうかは別の話。植物には植物の世界がある。自然を、擬人化という色眼鏡を通して眺めたとたんに、自然の理(ことわり)の深淵は薄っぺらいものに成り下がってしまう。「愛は通じる→おいしくなる」みたいな薄っぺらいものに。 「音楽を聴かせる→おいしくなる」なんて考えが勝手に法則化されてもてはやされて、日本全国あちこちの田んぼで大音響で音楽が流される日がやって来たら....。と、アホな想像をして、ゾゾッとしたりして。 もし消費者が「音楽を聴かせて育てた米はおいしいらしい。高くてもいい、食べたい」と望み始めれば、市場原理はそういう米作りにシフトしていくだろう。もしそうなれば、私はそれにハゲシク対抗して、「カエルの合唱を響かせて育てた米です」と言って高く売ろうかと思いますよ。(いや、マジな話)
by hyakuishou
| 2010-11-02 00:00
| 農・食・環境
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