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共催:法文学部森川ゼミ、ハンセン病ネットワーク沖縄 学生さんたち約50名 いつものように会場の間を歩き回りながら... ブラジルのエイズ対策の3つの柱は、治療(治療の質、治療へのアクセス)、予防啓発(含・HIV抗体検査の普及)、人権。 森川ゼミでは差別の問題について学問的アプローチを行っているとのことで、ブラジルのエイズ政策のすべてのベースに人権という観点が置かれていることや、ブラジルの反差別法、そして憎悪犯罪(ヘイトクライム)の刑法における位置づけなどについて力点を置いて話をした。 講演後は森川恭剛先生、森川ゼミの学生さんたち、ハンセン病ネットワーク沖縄の方々と近くの洋食屋さんで晩ごはん。 東本願寺沖縄別院の僧侶・長谷さん ブラジルでは政府と当事者団体などの市民セクターとが恊働で、エイズ予防啓発キャンペーンや、セクシャルマノリティやHIV陽性者への偏見差別をなくそうというキャンペーンを作り上げている。講演ではいつも、政府制作のそのキャンペーンポスターの写真を何枚も見せながら話をするのだけど、見る人にはターゲットを絞り込んだ具体性や表現の工夫、そしてなにより、この問題に真摯に取り組むのだという政府の熱い意志が伝わって来るのではないかと思う。 平良さんがハンセン病回復者としてのご自身の切実な思いとして、日本政府の発言や作るものからは何も伝わって来ない、ブラジルのポスターは心にものすごく伝わって来た、と語っておられたのがとても印象に残った。そして当事者が社会に向けて語ることの意味や大切さを、訥々と何度も言っておられた。当事者の言葉だからこそ伝わるのだ、と。 平良さんは9歳のときに療養所に送られ、療養所内にあった中学校を卒業後に退所。しかししばらくして再発し、療養所に戻った。回復後も療養所生活は続き、退所したのはようやく平成11年になってからだという。今年8月に全国退所者連絡会代表の任に就かれてからは、全国各地で講演の機会を持つようになったという。差別のある社会では当事者が社会の中で見える存在になること、つまりカミングアウトすることは、自身の痛みを伴う。しかし当事者がそうやって見える存在になって下さることで、ようやく社会は問い直すべき課題の存在に気づけるのだ。理不尽で非人道的な社会の行為に人生の大部分の長き時間に渡って苦められて来た平良さんの勇気と深い思いを、私たちは真摯な心で受け止めなくてはならないと思った。 ハンセン病は人類の歴史の中で最も古い疾病のひとつであり、エイズは最も新しい疾病のひとつだ。そしてその両者とも、偏見や差別と深く結びつけられて来た。アラウージョがいつも講演で、「偏見こそ、人類にとって最も古くて、いまだに完治不能な病。でも、どんな赤ちゃんも偏見などないまっさらな心で生まれて来るよね。まわりの大人や社会が偏見を植え付けていくんだ」という話をする。偏見という病を完治させる薬はないけれど、病にかからないためのワクチンならある。そのワクチンのひとつが、アラウージョや平良さんたちが届けてくれる当事者の声ではないだろうか。 森川ゼミの学生さんたちと一緒に... 講演の最後にいつもアラウージョは、こう語りかける。 社会の仕組みというのは、いつの間にか出来上がったものが、いつの間にかそこにポンと置かれているのではない。自分の外側にあって外からただ批判するだけだったり、自分にはさわることができないものだとはなから諦めたりするためのものではない。一人一人が意志を持って常に作り上げていくもの、そして、それをさらにより良くしたものを次の世代に手渡していくべきものだ。若い人たちには、自分たちがそれを担っていくのだ、という強い意志を持ってほしい。 日本の社会事情の深いところはブラジル人のアラウージョにはわからないから、メッセージをどう聞く人の身に引き寄せた部分に落とし込んでいくかは、事前に周到に打合せをする。単にエイズのことやブラジルではこんなことしてますということを知識や情報として伝えても、大して意味はないから。 この日は法律の学徒である若い人たちに、自分たち自身のこととして、自分たち自身の社会のこととして、どんなことを伝えることができただろうかなあ。私自身の子どもの時代や学生時代を振り返れば、「こんな社会にしておとなが悪い!」みたいな憤慨を抱くことも多かった。そして、あるとき、「あれ? 自分がもう、その『おとな』やんか!」と気づいて愕然としてしまった。「誰かのせいには、もうしていられないんだ」と気づいたときのプレッシャーというか、「無邪気ではもういられないんだ」という焦り...。ある意味無責任に批判だけしていられるのは、言ってみれば若さの特権なのだ。若い人たちには、その特権をせいいっぱい社会にとって有意義な形に使ってほしいと思う。 と、年寄り臭くまとめてみました。(元若者より)
by hyakuishou
| 2011-12-16 10:24
| ブラジル
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