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全校生徒 約150名 名護をこえてこのあたりまで来ると、山々の深い緑に、ああ、やんばるに来たなあ、という感慨が湧いて来る。辺戸名(へんとな)高校は、沖縄県最北部の高校。沖縄県北部福祉保健所が高校へ呼びかけて下さって今回の講演が実現した。他の高校の養護の先生方も聴講してくれて、教育現場での性教育への関心が高いことを実感した。 朝にまず立ち寄った名護の保健所での打合せでは、興味深いアンケート調査結果を見せていただいた。管内の高校における性教育の現状や生徒の性に関する意識調査なのだが、やはり性教育に割かれる時間そのものが少ないこと、セクシュアリティ教育やジェンダー教育は手つかずなことが見て取れた。個々の高校の問題というよりは文科省の示す方針そのものの問題なのだと思う。 講演では、基本の話はもちろん「ブラジルのエイズ対策」なのだけれど、それが作り上げられて来た(そして今も作り上げられ続けている)プロセスとその背景にあるエッセンス——人権尊重、科学的思考、プロタゴニズモ(当事者が主体性を発揮する運動)、etc.——を丁寧に紹介しようと努めた。アラウージョとは事前に「生徒たちに話しかけながらやろうよ」と打ち合せ。講演中「日本国憲法読んだことある人、手を上げてみて」とか「同性愛の友だちがいる人、いる?」とか、いろいろと話しかけました。(ブラジルのエイズ対策の歴史に「憲法」の話は欠かせないのです) また、ちょうどみんなと同年代を対象にアラウージョのNGOがサンパウロ郊外の貧困地域で行っている性教育ワークショップのようすを、写真を見せながら紹介。日本では性教育は「寝た子を起こすな」になりがちだけれど、性を「ひとの人生にあたりまえに有るもの(時期の早晩、量の多寡は人それぞれ。もちろん)」として、さらっと事実を事実として語らなくてははじまらない。性教育とは、自身の心身の健康を大切にするための教育であり、また他者を尊重するための教育であるはずだから。 「セクシュアリティ」や「ジェンダー」という言葉も当然、講演の中にはたくさん出て来る。しかし、それらの言葉の意味する所は高校生には難しいとのアドバイスを事前に保健所の方にいただいていたので、日常の言葉に噛み砕いてうまく通訳するのに苦労した。しかし、概念を表す用語というのは使うとわかったつもりになれてしまう部分もあるから、こうして噛み砕いて語る作業は自分自身にとっても理解するところを見つめ直す機会となるのがよい。 ——自分を大切にね。だから相手も大切にね。自分の気持ちや考えや自分らしさを押し殺しているのは苦しいよね。それを外に出してもいいんだ。出していこうよ。女らしさだとか男らしさだとか、なんとからしさだとかっていうけれど、らしさって何? 自分の自分らしさをまず感じてみようよ。 と、最後にアラウージョが熱く語りかけていた。通訳しながらみんなのようすを正面から見ていて、うつむきかげんだった顔がだんだん上を向いて来て、開いた目の光が強くなって来るのを、私は見たよ。「熱血」みたいのは私はどうも性に合わないのだけれど、アラウージョのは熱血とはちょっと違うのだ。おとなが、なにかをキミに伝えたいんだと、自分自身の経験から紡ぐ言葉でなにかを語る。そういうおとなの姿を子どもたちは感じ取りたいんだと思う。 講演後、生徒代表の女の子がお礼の言葉を述べてくれた。最初と最後の部分の文章は事前に作ってあったかんじだったけれど、真ん中に、講演を聞いた具体的な感想を言葉につまりながらも感情を込めて自分の言葉で語ってくれたのが、とてもうれしかった。先生から感想を盛り込みなさいねとアドバイスされていたのか、それとも自分で言いたくなって言ったのか、どちらだとしても、とてもうれしいことだ。前もって用意してあった感想文を「とても素晴らしい講演でした」と淡々と読み上げるのは、けっこう当たり前の風景だけれども、これはちょっとサミシイ。きちんとした文章を贈るのが相手への礼儀、という考えはよくわかるのだけれど、「常識」って、逸脱してみたら実はなんでもなかった、ってことも多いものではないかしら。 校長先生や保健所の方々と話をしていて、いまを生きる子どもたちにとって何が必要なのかを子どもたちの立場に立って真剣に考えておられることが強く伝わって来た。責任重大だ...と、緊張して臨んだ講演会なのだった。中学や高校での講演は、実はけっこう難しい。「感染者への差別はやめましょう。みんな共に生きる社会を」や「病を克服して強く生きる」みたいな話は歓迎されても、セクシュアリティや性のことに踏み込んだ話は、なかなか難しいのだ。けれど今回は、「そこにきちんと踏み込んで向き合おう」という気迫みたいなものを校長先生から感じたのだった。 沖縄では高校生の妊娠・出産〜退学措置がひとつの課題となっているという。「妊娠がバレたら退学」は日本では全国的な標準方針だけれど、でもそれは教育への機会を奪い取ることだし、そもそも性教育への機会が奪われているからこそ望まない妊娠という事態が生じるのではないだろうか。「臭いものにはフタ」の考えが「退学措置」に一直線に向かうのだろうけれど、ひとの生そのものに寄り添うものであるはずの性を「臭いもの」とする考えそのものが、ずれているとしか思えない。国の教育行政が現場の先生方の真摯な取り組みを生かすものとなってほしい。 「質問のある人は保健室に来てね〜」と先生からアナウンスがされていたので、女の子がひとり質問しに来てくれた。なかなか勇気がいることだよね。えらいぞ! おいしかった! あとで調べてみた。 笑味の店 というお店のお弁当ですって。レストランもあるみたい。 お弁当の中身の紹介は、こちらに。 お弁当を食べ終わった頃あいを見計らうように、三線を持った琉装の女性がそろそろと登場されて、びっくり。「てぃんさぐの花」「なだそうそう」「安里屋ゆんた」などを披露して下さった。学校の方々の温かなもてなしの心に、感謝感激でした....。 「せっかくなので、やんばるを案内したい」とのお誘いに、「ではぜひ喜如嘉の芭蕉布の里へ」とお願いした。アラウージョは地方色豊かな伝統工芸を見るのが好きだし、芭蕉(バナナの一種)の繊維の布だなんて、ブラジル人にとってはとても興味深いはず。彼のNGOには感染者の人たちが働く織物工房もあるし。私にとっては10年以上ぶりの再訪だ。 芭蕉布会館では、喜如嘉芭蕉布事業協同組合理事長の平良美恵子さんが館内と畑を案内して下さった。喜如嘉の芭蕉布作りでは、分業ではなく、原材料の糸芭蕉を栽培するところから様々な工程を経て織り上げるところまで全てに渡って皆が携わる、という形をとっているそうだ。糸も染料も、材料はほぼすべて地元で栽培されたもの。藍も自身でたてる。染料や糸や布を煮るかまどの燃料は山の薪。アルカリ処理剤は、かまどの灰。中和処理用の酸は米粉で仕込んだ酢だそうで、廊下に大きな仕込み樽がずらりと並んでいた。なにもかも、自然の恵みの中からひとの手が作り出したもの。そこに、ひとの「美」の感覚を乗せて染め上げ、織り上げる。だからこんなに美しいのだろうなあ。 ○大宜味村webサイト ・「自然と観光情報」のページ ・「芭蕉布の里」のページ
by hyakuishou
| 2011-12-18 00:00
| ブラジル
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