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見ながら泣けてきた。
NHKスペシャル~ライスショック あなたの主食は誰が作る 「第1回 世界がコシヒカリを作り始めた」 に続く 「第2回 危機に立つコメ産地」 (リンク先に再放送情報あり) 秋田県のアキタコマチ生産農家、9ヶ月の記録。 ある集落では、集落営農(※注)に生き残りをかけていた。大型コンバインも3台購入して迎えたこの秋の収穫。農協から発表された米の買取価格は昨年の4割減。何度も話し合いを重ね仲間を説得してスタートさせた集落営農だったが、いきなり借金返済もままならない事態に。(※注:集落単位で生産組織を作り20ha以上の農地を耕作する。このような形態を「担い手」として育成し大規模農業を推進しようというのが日本の新しい農政の方向) 谷津田や棚田が広がる集落では、農地を全部集めても集落営農に必要な面積には到底およばない。山間の農家は「担い手育成」の施策からは見放された存在だ。補助金は打ち切り、米価も下がるいっぽう。日本の米全体の実に4割が、このような中山間地で作られている。 八郎潟を埋め立ててできた大潟村の入植者一家は、大型機械を駆使して50haを耕作する大規模稲作農家。年収は数字の上では1000万円をゆうに超えるが、そのほとんどが経費に消える。米価は年々下落し、今年はとうとう採算割れぎりぎりのラインにまで。借金は既に4000万円を超えた。「資金がなければ来年の作付けができない」と農協に追加融資を求めに行くが、すげなく断られて万策が尽きる。 同じ大潟村で16haを耕作しつつ、米の販売会社も経営する男性。地域一帯の農家から大量の米を農協よりも高値で買い取っている。「農業は面積じゃない。頭の使いようだ。農業は脳業だ」と、低農薬米や発芽玄米などの付加価値をつけた商品を直接消費者に通信販売する。しかし、このところ登録顧客数が激減。消費者の米離れと、より安い米への志向をひしひしと感じている。 日本の米の生産の半分近くを占める中山間地は切り捨てられ、かたや大規模農業は、国策のモデル事業として期待された大潟村でさえ破綻の兆しが見えている。番組に登場した農家の人たちが、何人も、「もうだめだ」「農業をやめるしかないのか」とつぶやくのを聞いて、胸がきりきり痛んだ。 第1回にも登場した3人の有識者がインタビューに応えている。 第1回で「食糧は輸入すべし」と語り、自給率の低下は国家の安全保障上問題があるのではという指摘に対して「世界にお友達がたくさんいればだいじょうぶ」と答えた内閣府・経済財政諮問会議グローバル化改革専門調査会委員の本間正義・東大教授は、「農業も工業と同様に、"調整"という発想でやっていかなければ。調整の過程でつぶれていく農家が出るのは仕方がない」という趣旨のコメントをしていた。 しかし。生命を支える食糧を生み出す農業を工業と同列に語れるのか? 食糧は単なる物質をこえたものではないのか? 農の営みこそが森や水源や景観を守ってきたのでは? そして農は日本の文化の基層そのものでは? 番組中、「農業がだめになるということは、この地域がなくなるということだ」とつぶやいた人のその言葉の重みを、本間氏はどうとらえるのだろうか。たとえば、「そういう情緒的なことでは困るんです。マチへ移住して別の仕事を探してください」とでも言って切って捨てるのだろうか。「地域全部、調整されてくださいね」と。 番組中、山間の棚田で何十年も米を作ってきた人が「田んぼはやめない」「最低限の暮らしをここでなんとか続けながら、せめて楽しいと思えるものを見出していきたい」という趣旨のことを語っていた。そんな切ない思いを、「利益は度外視、つまり個人的な趣味の農業ということですね。ならば自己責任でご勝手に」と突き放すのだろうか。
番組を見ながら、近所の農家の人たち(70代~80代)の顔がいくつも浮かんできて仕方がなかった。手取り足取りいつも教えてくれるお師匠さん。毎年「いつまでできるかなあ」と言いながら、春先になると「今年もがんばるよ」と生き生きと田んぼ仕事に精を出す。 山の中で田んぼをつくるひとり暮らしのおじいさん。通りかかるといつも、「水飲んでいくか。おいしいぞ」と、田の脇に引いた山の湧き水をふるまってくれる。その誇らしげな顔。 春先の大雨で大きく崩れた棚田の背のたけ以上もある高い斜面を、スコップで1杯また1杯と土をかつぎ上げては直していた80代の老夫婦。「この田んぼは今年あきらめても別にいいんだけど、やっぱりきれいにしたいからね」と汗を流していた。 自分の代で田んぼを終わらせるのはつらい。せめて一年でも長く続けたい。そんな思いで食と自然と景観と文化を守ってきた人たち。 ここに移住する前、棚田が広がる景観の美しさにひかれて何度かドライブに来たりしていたのだ。「きれいなとこだねー」なんてのん気に喜んでいたけれど、引っ越して自分たちも田んぼをするようになって初めて、そのきれいな景色を誰が黙々と守ってきたのか、に気がついた。 工業やIT産業をさらに推し進め、みなが工業地帯か都会に暮らし、食糧はカネで外国から買い付け、かつて農村と呼ばれた地域では住む人もなく訪ねる人もなく、田畑も山河も荒れるにまかせおく。それが、私たちが欲しい未来なのだろうか? と、そんなことを考えていたら、またまたすっかり目が覚めてしまったのだった。 4日目の今日、2枚目の田んぼの半分が終了。明日もやっぱり黙々と稲刈りは続く! 文: さとみ 関連記事:「ライスショック あなたの主食は誰が作る」(2007-10-15)
by hyakuishou
| 2007-10-17 03:33
| 農・食・環境
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