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今日、映画『ファヴェーラの丘』公開がらみのミーティングに参加してきた。(これについては後日、具体的になってからあらためて・・・) いろんな意味で、ぜひ多くの人に見てもらいたい映画だと思うし、ミーティングでは映画を見た方の素の感想を知ることができて、とても参考になった。よく知っていることすぎて、私はまっさらに見ることができないから。 ところで映画には、作り手によって、また作品によって、さまざまな作り方の手法があると思う。 映画『ファヴェーラの丘』は、ドキュメンタリーというよりは、ドキュメンタリー的ドラマと呼んだほうがよいかもしれない。アンデルソン・サーという、ファベーラで生まれ育ったひとりの若者の思いや生き方を描き出す、人間ドラマとしての。 この映画は、理解のベースとなる具体的な情報を削ぎ落として作る手法をとっている。それが意図してのことなのかどうかは、わからないけれど。 いわゆる資料映像が効果的に多く使用されていると感じた。ブラジルのテレビ局のニュース映像やアフロヘッギ文化グループ制作のプロモーション映像から借用したのだと思われる。語られているエピソードと映っている場所が一致していない場面も多い。 ジャーナリスティックな意味でのドキュメンタリーとは、また違った文脈の映画手法なのかな・・・と、そんなことを思った。 今日、素で見た人の感想を知って、「こういう情報を補足しておくと、より映画への理解が深まるかもしれない」と気づいた点がいくつかあったので、追々とブログで提供していければと思う。 ■「アフロヘッギ文化グループ」とヴィガリオ・ジェラウ NGO「G.C.A.R. - Grupo Cultural Afro Reggaeアフロヘッギ文化グループ」は、 リオのセントロ地区に住むジュニオールは、それ以前からセントロ地区で、単発のクラブイベントをたびたび主催していた。「人種や社会階層を越えて若者たちが集い、エネルギーをはじけさせて、非暴力や反差別を考える場を作り出したい」という思いからだ。クラブでは、ボブ・マーリーのジャマイカの黒人運動に触発されて、よくレゲエをかけていた。 1992年、自分たちのメッセージを発信するために新聞の発行を始める。その新聞の名前に決めたのが「アフロヘッギニュース」だ。そしてこのムーブメントがNGO「アフロヘッギ文化グループ」設立へと発展した。(ブラジルではreggaeレゲエを「ヘッギ」と発音する) 1993年8月30日、リオ市北部のはずれのファベーラ「ヴィガリオ・ジェラウ」で虐殺事件が発生する。(これについては、また別に書きます) ブラジル中を震撼させたこの事件をきっかけに、ジュニオールは、ファベーラ「ヴィガリオ・ジェラウ」を応援するプロジェクトをやろうと決意。カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルなどの著名ミュージシャンの協力をあおいで、子どもたちの音楽教室をヴィガリオ・ジェラウの中でスタートさせた。(カエターノがG.C.A.R.のゴッドファーザーに、ヘジーナ・カゼー(映画『Eu Tu Eles』邦題『私の小さな楽園』の主演女優)がゴッドマザーになっている) アンデルソン・サーは、当時13歳。 彼は、NGO「アフロヘッギ文化グループ」が開いたこの音楽教室の生徒となり、同年代の仲間たちと「アフロヘッギ・バンド」を結成した。成長した彼らは、やがてプロになり、メジャーレーベルでCDデビューを果たす・・・。 ■麻薬組織の誘惑を振り切って ファベーラの男の子たちは、10歳を過ぎるころから、ファベーラをねじろにする麻薬密売組織の誘惑を受けるようになる。見張り番(警察や敵対する麻薬組織がファベーラに入って来たら報せる役)や使いっ走り(顧客に麻薬を届けたりする役)などをして、小遣い稼ぎをする誘惑だ。 ファベーラのおとなが汗水流して日雇い労働などをして月に稼ぐ金額を、子どもがたった数日で稼げてしまう。「ナイキのカッコいいスニーカーがほしい」なんて憧れる子どもたちにとっては、魅力的に見えてしまっても仕方がない。 「ぼくも面白半分で関わった」と映画の冒頭で笑いながら語っているように、アンデルソンもまた、ファベーラの少年の多くが通過儀礼のようにたどる道を歩いた一時期があった。しかし、その道は、しょせん暴力や疑心暗鬼に黒く彩られた道にすぎない。 そして、自分の将来を真剣に考えたときに出会ったのが、「アフロヘッギ文化グループ」だった。 誘惑にゆれる少年時代に、そのまま向こう側の道を行ってしまった友人の中には、殺されてしまった者も多い。いや、そうではない違う人生の選択肢があるのだということを、アンデルソンたちは身をもって、今度は次の世代の子どもたちに自らが手本となって示している。 (おまけの話) アンデルソンの名誉のために・・・彼は「元麻薬密売人」ではないですヨ。そのころ彼は13歳の子どもだったんだから。 彼らの具体的な活動内容は、またあらためて。 写真・文:下郷さとみ
by hyakuishou
| 2008-03-18 00:00
| ファベーラ(ファヴェーラ)
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