最新の記事
●新刊のご案内
『平和を考えよう(全2巻)』小学校高学年~中学生向けの本です。詳しくは > こちら おすすめ記事 ●電気柵が守る村にて ●人は自然に託して物語を紡ぐ ●飯舘村から思いをつなぐ ●春よ、春よ ●落ち葉も輸入?! - セシウム汚染腐葉土のニュースに思うこと ●ペシャワール会・伊藤和也さんの死に思う おすすめシリーズ ●[里山暮らし]与那国馬タックとの日々 ●[里山暮らし]炭窯&奥谷津棚田—長老たちとの日々 ●[スピリチュアル?]ぐだぐだ考えてみた ●[ブラジルHIV+アクティビスト]アラウージョ全国講演旅行2011報告記 ●[ブラジル・リオ&サンパウロ]ファベーラ(スラム)をへめぐる ●[アマゾンと先住民]カヤポ族 呪術師長老ラオーニ、日本を行く2007 ●[アマゾンと先住民]ベロモンチ水力発電所建設問題 別館 ●日本の文化・旅をブラジルへ発信するポルトガル語サイト Curtindo o Japão ●関連記事 コンタクト --> こちらから 以前の記事
カテゴリ
野良しごと/山しごと 手しごと 書くしごと 里山と棚田と馬と 自然・いきもの・風景 鴨川・田舎暮らし 農・食・環境 養蜂・ハチミツ よの中・ひとの中 旅の空 ブラジル ファベーラ(ファヴェーラ) アマゾン/先住民 つれづれ ヘジの野辺だより ■百一姓の農産品■ [ プロフィール] [ このBLOGの使い方] タグ
生き物(164)
植物(159) 田んぼ(156) 畑(146) 馬と暮らす・働く・遊ぶ(68) アマゾン/先住民族(48) 田舎暮らし(43) 料理(42) ブラジル(42) アラウージョ(40) ヒミツの山(36) NGO(35) 旅(34) ファベーラ(33) 鴨川(32) HIV/AIDS(29) 農/食(29) メディア(28) ベロ・モンチ水力発電所(26) 炭窯長老(21) 検索
最新のトラックバック
その他のジャンル
|
NGO「ペシャワール会」の在アフガニスタン日本人職員・伊藤和也さんが武装グループに拉致され殺害された。この報を耳にして以来、沈痛な思いが心に淀み続けている。破壊と混乱のきわみの地で、民衆の生活基盤の回復に尽力してきた人が、破壊と混乱が生み出す殺意によって命を奪われる。やりきれない。
ペシャワール会の活動は現地の人々から厚い信頼を得ていたと聞くし、伊藤さんも現地の言葉を話し、人々の間に溶け込んでいたという。だから、遠からず解放されるに違いないと高をくくっていた。射殺という最悪の事態に、状況はここまで来てしまったのかと、慄然たる思いがしている。 私がアフガニスタンという名前を知ったのは、まだ子どものころ、ある一冊の本を通してだった。『シルクロード 人と出会う旅』(斎木幸子写真・文)という1976年発行の本で、アフガニスタン、ソ連、イラン、イラク、トルコの国々をめぐり歩いた記録が写真と共につづられている。ソ連侵攻以前のおだやかな時代。さまざまな生業につく庶民の暮らしぶりや茶店でくつろぐ人々のようすに、「遠い国にはこんな世界もあるんだ」と、心奪われた記憶がある。 おだやかな暮らしは奪われ、国土は荒廃した。さまざまな覇権欲のために。大国の大義名分のために。それに抗する尖鋭化した主義主張のために・・・。苦しむのは、いつも名もなき庶民ではないか。そして名もなき人々は「犠牲者○名」「飢餓人口○名」と、ただの数字に還元されていく。 国際協力の仕事、特に民間ベースのそれに赴く人に対して、「日本国内にも問題は山積みなのに、なぜ遠いよその国なのか」「しかもなぜ危険な場所へわざわざ」という感想を持つ人もいるだろう。赴くはじめのきっかけは、それぞれの人の数だけストーリーがあるのだと思う。けれど、その先の継続の動機は、誰もが似通っているのではないか。それは、「かかわってしまったから」。ほかに理由なんてない。たぶん。 かかわるとは、人々がもう名前のないただのデータではなくなるということだ。共に暮らし、共に汗を流す。その人たちの切実なニーズや願いを知る。それに少しでも応えられる技術や能力が自分にある。活かしたいと思う。しかし自立支援は息の長い仕事だ。危険と隣り合わせの地ならばなおさら、それだけニーズも大きい。かかわってしまったら、もう投げ出せない。他者の人生にかかわることは、とても責任が重く、よろこびは深い。 伊藤さんは農業支援の仕事に取り組んでいたそうだ。「食べる」という、人々の生活の最も重要な基盤をつくる仕事。いまのアフガニスタンには、いちばん必要な支援だと思う。 財布を握ってちょっとそこの店に行けば大概のものは手に入る暮らしがある私には、食べるものがない恐怖と絶望、食べる手段を奪い取ったものへの怒りや憎しみなど、わかりっこないのだ。忙しさにかまけて田んぼを雑草だらけにしてしまっても、「コメの収穫悪くても、買えばいいんだし」と、うそぶいてしまえるこの贅沢さ。 「人間は、作らなければ食べられない」という生きることの本質をかみしめながら、伊藤さんが成し遂げようとしていたことの尊さに思いを馳せている。「テロには屈しない!」と勇ましく振り上げる腕よりも、黙々と鍬をふるう腕のどれだけ尊いことか。 いつも訪問するブログ「地場・旬・自給」で、伊藤さんの死に触れた記事を読んだ。ブログ主は小田原で自然養鶏を営んでいる方だ。結びに書かれていた言葉に私は深く頷かされた。 「伊藤さんの死」より引用 我が家も、もうじき稲刈りと蜂蜜の採取の季節。実りに感謝し、大地に足踏ん張って耕していきたい。遠い国の人々と、そこに寄り添う人々のことを思いながら。 ※アフガニスタンの状況や今回の事件の背景分析など、ひとつの参考として・・・ NHK解説委員室ブログ「時論公論」~アフガニスタン 日本人誘拐の背景
by hyakuishou
| 2008-08-30 21:33
| よの中・ひとの中
|
ファン申請 |
||